【意味が分かると怖い話】
夜中に起きると、部屋に階段があった。俺の住んでいるマンションは1Kで、もちろん2Fもロフトもない。寝ぼけているのかと思いながら、その階段を上ってみる。20段くらいある少し長めの階段だった。15段目を超えた辺りで、天井をいよいよ超えようとしていた。上りきったあとに何があるのか不安だったが、そのまま頭を天井の先に突き出す。俺の部屋があった。
下を見れば、もちろん俺の部屋に戻れるはずだが。何だか怖かった。下を振り向いてよいのか、怖かった。とりあえず上りきって俺の部屋に入る。すると階段はなくなっていた。さっきまで寝ていたベッドと何ら変わらなかったので、そのまま眠ることにした。夢の中で眠るなんて変な話だ。
次の日もまた同じ夢をみた。部屋の中に階段があって、上る夢だ。上る段数も、着く場所も同じ。夢の中で階段を上ってまた眠る。そんな夢を毎日みていた。体に変調があるわけでもないので、あまり気にしなかった。
ある日、会談を途中までのぼって、ふと思った。「このまま降りたらどうなるのだろうか」と。最初に感じたような怖さはなかった。何度も夢を見続ける間に、「部屋は2つに増えただけだ」と考えるようになっていたからだ。何の抵抗もなく俺は会談を降りていった。来た場所、つまり俺の部屋に戻っていた。ベッドに着いて眠ることにした。
その日以降もまた夢を見続けた。日によって上りきるか、途中で降りるかは適当に決めた。どうせ疲れが残るわけでもない。しかし数日だか数週間だか経ったある日、また新しいことで悩んだ。上の部屋と下の部屋を同時に見たいと思った。上りきっても下りきっても階段は消えてしまう。ということは、一番最初のように、天井から顔を出した状態で上の階を確認し、そのあとで下の階に降りて行けば両方の部屋を見ることができるんじゃないかって。
その日同じ夢をみた。さっそく試してみる。15段に足をかけ、16段目を上りつつ天井から顔を出す。やはり同じ部屋があった。そこから俺は下った。やはり同じ部屋だった。まぁそんなことだろうと思ってはいたが、これでまた一つ疑問が解消されてしまった。
ベッドに戻り眠ろうとする。しかし、いつもと違う。・・・・・・階段が消えていない。
階段から誰かが降りてくる音がする。
その顔を見て、俺は納得した。