俺「そもそも分かんねー。一から、マンションの規則から話してくれ」
悩んだ末に、悩んだ元から話してもらうことを選択した。神奈川の外れのマンションとはいえ、数千万の話だ。というか、俺の働きもローンに組み込まれている。親子二世代のローンのマンションだ。知る権利は当然ある。
母「まず、マンションのオーナーがいます」
俺「当たり前だろ」
母「そのオーナーはマンションに住んでいます」
俺「まぁ、ありえる話だ」
母「オーナーが代表役員です」
おかしくないか。分譲と言う時点で住民同士の立場は同じであるはず。階層や購入時期によって出した金額の差はあるものの、なぜ、ヒエラルキーが存在するのだろう。もちろん詳しいわけではないから分からないが、これではどう考えても、大家と借主といった、立場の違いになってしまう。
土地があった(or売った)。その土地でマンションを建てて販売した。購入した人間がいる。その人間に対して優位な立場のオーナーが存在する。これは、ある意味でアパートと変わりないのではないか。
母「いい? それで、代表役員には役員5名を選出できる権利があるの」
いやいや。それって。
母「マンションの規則で、代表役員には役員へ最大で年間50,000円を支給することができるの。これは役員の活動費用として記載されているわけ」
そんな話をしているところに、参院選が近いこともあり、選挙カーが通って行く。マニュフェストを声高らかに叫んでいる。
マンションの話。これは、政治の話だ。つまるところ、役員は50,000円で代表役員とやらの子飼いになるわけだ。そしてマンションの規則とやらが書き換わっていくわけだ。子供でも分かる。
俺「いや、分かっていると思うけど」
母「うん。分かってる。その上で、続くんだ。まだ時間ある?」
俺は頷くことしかできなかった。終の棲家と言う言葉が重くのしかかる。
次に母が発した言葉は、想像にもしていなかったことだ。
(省略されました。続きを読むにはEXAMさんの許可が必要です)