平沢進の受容プロセス
第1段階:否認と孤立(denial & isolation)
歌詞がよく分からず、それでも友人が勧めてくる事実に衝撃を受け、それを頭では理解しようとするが、感情的にその事実を否認(逃避)している段階。「これは電子ドラッグだ」というような反論をするものの、それが否定しきれない事実であることは知っている。周囲は、この事実にもとづいて考えを進めているため、そうした周囲から距離を取り、孤立することになる。
第2段階:怒り(anger)
論理空軍が名曲という事実は認識できた。しかし「PVの平沢進戦闘機が攻めてくるのはどうかと思う」「結局こいつは右翼なのか左翼なのか」というような怒りにとらわれる段階。ケースによっては、紹介者などに対して「あなたはいいね、運転中に音楽が聴けて」といった皮肉のような発言をすることもある。根底にはやはり「なぜ、自分が」という、徐々に平沢進に惹かれていることへの強い反発がある。
第3段階:取り引き(bargaining)
信仰心がなくても、田中靖美や田井中貞利にすがり、聞き続けるのを止めてと願う段階。ハマることはわかったが、もう少しまってほしい。ギャンブルをやめたり、風俗通いも改めるといった「取り引き」をしようとする。なんとか、頭の中でリフレインするのを回避することができないか、模索する。はじめは「iPhoneを遠ざけてほしい」という願いが「今日聞いたら止めるので、あと少しだけ」という具合に、取り引きの条件が自分に不都合なほうに変化することもある。
第4段階:抑うつ(depression)
「ああ、これだけ頼んでもダメか」「神も仏もないのか」というように、自分なりに神や仏に祈っても、聞き続けてしまうことを悟る段階。悲観と絶望に打ちひしがれ、憂うつな気分になる(正確には、抑うつと悲観は異なる概念である)。頭で理解していた平沢進が、感情的にも理解できるようになる。神や仏の否定になるケースもあり、虚無感にとらわれることもある。
第5段階:受容(acceptance)
UNDOで寸分前の過去を帳消す飛行機で
何万の航路を開けて出迎えるスフィアを行け
塀へ 塀へ 一瞬脳裏のクラッシュは
安住の幻影を消去し
歪曲のルートで堀消す
夢に見た 再生の空 再会の空
ああ