2月8日
4時起床。ここライプツィヒ空港は「ライプツィヒ空港駅」と直結しているため、ここから電車に乗ることが出来る。逆を言うと電車でなければ来れない場所に、この空港はある。近くは高速道路に車が走っているだけで、店も民家も何もない。日本の成田空港より酷いかもしれない。
昨日のうちに電車の切符の買い方について色々と調べてみた。地球の歩き方によるとドイツ国内にはDBという鉄道網のみがあり、他社線というのは存在しないらしい。また、自動券売機で切符を買うと書かれていたので、実際にホームに下りて確認してみると、確かにそれらしいのがあった。ホームに設置された時刻表には始発が4時、のような表記がされていた。今日の起床時間が早いのはそのせいでもある。
そしていざ切符を買おうと思ったが、重大な事に気付いた。何と
券売機のドイツ語の意味が全く理解できない。写真がないのが残念だが、ドイツの券売機はやたらめったらボタンが存在しているため、どれが何の意味を持っているのかがわかり辛い。特に下のほうにある人の絵など、同じものが並んでいる風にしか見えないが意味があるのだろうか。
一旦空港内に戻り、DBのカウンターに行くが、カウンターの営業時間は8時からと知って絶望する。トイレで顔を洗ってからもう一度ホームへ。時間は5時を回っていたので、何本か電車が通り過ぎていったのがもの悲しい。震える指を押さえつけながら、必死に操作すること10分、『券売機の左側に書かれている表が駅名を意味している』ことに気付いた。というのは目的地のJena(イエナ)がJの列にあったことや、Lの列にLeipzig(ライプツィヒ)があったことなどから推測した結果である。駅名の隣には4桁の数字が書いてあるので、右側の電卓のような装置にそれを打ち込んでみる。すると画面にJenaという文字と16.40ユーロという金額が表示された。早速お金を入れてみると、下から切符が出てきた。時刻表で確認すると、次の電車は5:24とのこと。寒いので空港内に戻る。
やがて電車の到着時間になったのでくそ寒いホームに再度行くと、電車が来ていない。もしドイツに行くことになったら注意してほしいが、日本と違って各ホームに設定されている時刻表は、『
その駅に到着する電車全ての時刻表である』ということ。つまり1番ホームに書かれているからといって、その電車が1番ホームに来るとは限らない。いや、実際に俺らがミスっただけなんだけどね。23分の段階で気付いて、1分で階段を駆け上って向かいのホームの電車に飛び乗った。焦った割に電車は28分に発車したが、とにかく間に合ったことが嬉しかった。これで友人の待つイエナという街に行くことができる。
ドイツの電車の車両は小田急線で言うとロマンスカーのようなものだ。指定席ではないのだが座席のつくりが基本的にそうなっていて、4人で座れるような席も普通に開放されている。「せっかくだから1号車に行こうぜ」という某先輩の声の元、席を移動してみた。指定席じゃないんだから眺めのいい場所を選ぶこともできるということだ。普通の車両のくせに二階席とかあるし。しかもこの時間の電車はガラ空きで、1車両に1人乗っているかという感じだった。久しぶりの柔らかいイスの感触に感動する俺たち。しかしドアを開けてそこに現れたのは、ドイツ人の車掌だった。
とことこと俺たちの方に近づいてきて、謎の言葉を投げかけてくる。ぷりーずじゃぱにーずと言わんばかりで、当然のように日本語で対応する俺。どうやら切符を見たいらしい。そんなに見たければみせてやるよ、この乞食が。すると苦々しい顔つきでこちらを見てきて、向こうを指差している。何かおかしい。ああ、そういうことか。
この1って数字は1号車って意味じゃなく、1等席って意味なのか!
2等席にトボトボと帰ることになった。しかしすぐに終点のライプツィヒ中央駅に着いたので、実際的には金も払わず1等車両に乗っていたようなものなのか。オッサン、目こぼしてくれてありがとな。ダンケシェーン!
ライプツィヒ中央駅で乗り換える。友人からはICE(ドイツの特急電車)に乗ると楽だと言われたが、どうやらICEはクレジットカードがなければ買えないらしい。そんな怪しいことに使うのは嫌なので、俺のカードはお蔵入りさせておいた(そもそも残高5千円しかないしね)。広い駅なので適当に歩いていると、SERVICE COUNTERというものがあったので寄ってみる。ここなら英語が通じるだろう。だってサービスカウンターって英語だもんね。
しかし通じず。フツーにドイツ語で語りかけてきた。さっき拾った路線図を片手に、イエナの駅を必死で指差すと、おばちゃんが変な紙を渡してきた。俺らがほしいのは紙じゃなくて救いの神なんだよ。このファットデビルが。もういい、帰ゆ!
日本語で悪態をついてそこを後にした。しかしもらった紙をよく見てみると、何と
乗る電車の時間とホームが印刷されているではないか。おばちゃんはツンデレだった。直接言うのが恥ずかしいから紙に印刷するなんて、日本でもなかなかいないぜ。もし痩せて若返ったら求婚したくなるくらいカワいく思えた。
指定されたホームに移動し、電車を待つ。予定通りの時間に着たので乗り込む。今度は2等席に間違えなく座る。そして発車。6時半を過ぎたというのに空は黒く、景色は全く見えない。そして車掌がやってきて切符を見て去っていく。書くことが特にないので割愛。イエナ到着までの道程を書いておくと、ライプツィヒ空港駅⇒ライプツィヒ中央駅⇒ゲラ駅⇒イエナ西駅となっている。
そういえばゲラという駅で30分ほど乗り換えの待ち時間があったので、そこで初めてドイツの食べ物を食べた。ブリュストというドイツでありふれた、ソーセージを硬いパンにはさんで食べるというモノだが、ここで食べたブリュストはあまり美味しくなかった。食べ終わって歩いているとハゲとモヒカンっぽい二人組が歩いていたが、アレは間違いなくネオナチだったのだろう。怖いので見つからないようにしていた。また、ネオナチという言葉が通じるとまずいので、符丁を考えておくことにした。ネオナチのことは「
マンジ」と呼ぶことにした。個人的にはカブラがよかったが、これは風来のシレンやってないと分からないネタだからな…。
イエナ西駅到着。友人との待ち合わせ場所&時間は、17時にイエナパラデュース駅なので、まずはパラデュース駅を探すことにした。標識が多く、道が分かりやすかったのですぐに着いた。その頃にはすっかり夜も明けて雪も溶け出していたので歩きやすかったことも理由にあるが。
時間までまだ大分あるのでそこらへんを適当に散歩していると、デカいショッピングモールがあったので入ってみる。後から分かることだが、このモールは「ゲーテ通り」といい、イエナの見物場所の一つとして地球の歩き方にも載っていた。ただ俺にとってはショッピングセンターでしかないので、あまりそこらへんは気にしていない。そしてここに寄った最大の理由は、
駅のトイレが閉まっていたからである。
ドイツのトイレ事情について説明しておくと、基本的に
ドイツのトイレは有料である。こちらに住んでいる友人の話によると、50セント支払うことが通常で、無人トイレなどは支払わなければ入場できないところが多いとか。今回紹介しているゲーテ通りのトイレには、トイレの番人と名づけたおばちゃんが立っていて、用を足した人がお金を支払うのを毎回見届けている。しかしここでは適当な硬貨を置けば良いだけなので、俺や某先輩は毎回5ユーロセント(日本の5円玉みたいなもん)しか出さなかった。あとドイツの電車の車両には必ずトイレが付いている。それは無料なので小便などはそこでした方が割安で済む。しかし汚いことが多いので、大はできるだけキレイな場所でした方が良いと思う。そういや俺は電車内で一度もしなかったなぁ。
ゲーテ通りでトイレを済ませ、またパラデュース駅に戻る。いい加減10kgのカバンが重たくなってきた。すると某先輩が「自力で宿を探そう」と言った。確かに夜までここで待ってるわけにもいかないので賛成し、バスにのって地球の歩き方に紹介されているユースホステルに向かうことにする。
バスに乗ってみたはいいが、今度はバスの切符の買い方が分からない。仕方がないので運転手のおばちゃんに聞いてみると、運転席から降りて券売機の操作を教えてくれた。根本的な買い方は未だに分かっていないが、とにかくイエナ駅前からユースホステル最寄のバス停までの買い方だけは理解した。そしてバスに揺られること15分くらい、4つ目の停留所で降りた。雪の坂道を歩きながら10分、ユースホステルが見えた。この時がだいたい10:30だったが、地球の歩き方によるとユースホステルのチェックインは10時でしまってしまうらしい。無駄足にならないよう頑張らないと…。
しかしカウンターには誰もいなかった。途方に暮れ、備え付けのベンチに座る。某先輩は疲れからといって少し横になっていた。俺もどうしようかと思っていると、変なオッサンが外からカウンターに入っていった。すぐさま某先輩を起こし、交渉開始。ちなみにこのオッサンのあだ名は「ガチムチおやじ」。ガチガチムチムチしているその美しい肉体が名前の由来だ。
ガチムチ「(ドイツ語)」
某先輩「
In English OK?」
ガチムチ「
NO!」
この時点でガチムチおやじが俺らとコミュニケーションを取る意思がないことを確認。「日本語知ってますか?」の質問に「いいえ知りません」って答えるようなもんだぞ。そのうちガチムチがイライラしてきたのか、席を立ち、どこかへ出かける様子を見せた。ここで見捨てられては困る。俺らも後をつけるが、おやじが両手でそれを静止。またもや二人だけになってしまった。
しかしおやじは優しかった。英語の出来るアルバイトっぽい青年を連れてきてくれたのだ。ここは俺の出番だとばかりにセンター試験194点の英語を使うが、全く通じず。相手が混乱するだけだった。結局交渉ごとは某先輩が全て行い、これによって4日間の宿を手に入れた。支払いを済ませ鍵を手に入れ、さっさと部屋に荷物を運び込む。シャワーとトイレがあるだけで、他にはベッドしかない殺風景な部屋だった。しかし何にせよ36時間ぶりのベッドである。待ち合わせ時間まで寝ていようということで、とりあえず14時近くまで仮眠。それから着替えて出かける。
バスで駅に向かうと、車内で黄色い服を着た兄ちゃんが陽気に話しかけてきた。切符を見たいらしい。バスの無賃乗車も40ユーロの罰金なので、きちんと買っておいてよかったと心から思った(ちなみにこの切符確認係はランダムで乗っているらしく、運がよければタダ乗りも可能)。
駅に着く頃には雪が降り出していた。日本と違いサラサラの雪で、地面に落ちてもすぐに溶けてしまい積もることがないのが特徴。服についても払えばあまり濡れないので、街行く人はほとんどカサを差しておらず、パーカーのフードをかぶるくらいで過ごしていた。
15時に駅を見回したが、やはりまだ来ていなかったので、先に買い物を済ませることにした。ユースには石鹸やシャンプーなどの生活必需品が一切なかったからである。ゲーテ通りの中に入っている某スーパーで色々と買い揃えてみる。コーラやビール、チーズなどもここで買っておいた。
会計の時に気付いたが、ドイツのスーパーのレジは謎が多い。まずレジの前にはベルトコンベアが敷かれており、カゴの中身をそこに全て出す必要がある。カゴごと持ち込むほうが遥かに早そうに感じられるが、
店員が座ったまま働きたいがために、そのようなシステムが開発されたのだろうと推測する。他の店の会計システムは日本と同じだが、スーパーだけは違うのでご注意を。あと買い物しないと出られないように感じられるが(説明しにくいが、一旦入場すると出られない仕組みになっている)、強引にコンベアの後ろを通って行けば何も買わずに出られる。しかしあまりに高度な技術のため、基本的に何か買って出るようにしていた。
17時前に到着し、ベンチで待つが全然来る気配がない。外はかなりの雪が降っているため、もしかしたら友人の乗る飛行機や電車が雪で止まっている可能性があったのでそれを考慮するが、19時まで待っても来なかったので諦めた。更に買い物を追加し、ユースに戻ってから買っておいたビールとワインで乾杯。疲れからか23時前に俺が寝落ちしてしまったのでここで終了。日記は翌日に書いたみたいだ。
これが電車の切符。出発駅と目的地、右下に値段が書いてある。
こっちはバスの切符。
ゲーテ通りにあったゲームショップ。
日本の製品しかなかった。
やっぱり日本のゲーム技術は世界一ィィィ!!!
ちなみにPSPが230ユーロ(約35000円)くらいだった気がする。