2月9日
7:30起床。某先輩は眠っていたので一人で食堂へ。書き忘れてたけど、昨日ユースの支払いを済ませた時に、英語を話せる兄ちゃんが「朝食は6時~9時までだよ」と言っていたので、それに間に合うように目覚ましをセットするように決めた。階段を下りて別棟にある食堂へ向かうと、フロント前の自販機に商品をセットしているガチムチおやじに出会う。昨日覚えたばかりの言葉を遣ってみるか。
俺「
グーテンモルゲン!(おはようございますって意味)」
ガチムチ「
モーゲン!(本場の発音)」
何だ、普通に会話できるじゃないか。別に俺らのこと面倒な客だとか嫌ってるわけじゃないんだね。勘違いしててごめんよ。そのまま歩いていくと今度は従業員っぽいおばちゃんがいたのでこちらにもぐーてんもーげん。もちろん挨拶し返してくれた。いい国だ。日本なんて挨拶もろくにできないやつがいるのに。人が帰国してただいまって言ってるのに、ニタニタ笑ってたEXAMとか、マジでろくな死に方しねーよ。
食堂にはコックがいたので、これにも挨拶。するとモーゲンと返ってきたのはいいが、その後ドイツ語で何か言い出した。そもそもこの食堂の食事のシステムが分からないので、どうやって料理を注文したらいいのやら。カウンターの中にいるコックがよくわかんねーことをペラペラ喋っているが、それに対して
きちんと日本語で応対する俺。壁に書いてあったコカコーラを注文するも、手で×を作られてしまう。売り物じゃないのかよ。
するとコック、カウンターからこっちに出てきて案内を始めた。このパターンは昨日のガチムチと同じだな、とか思ってると、奥のほうにハムやチーズ、パンなどが自由に取れるテーブルが用意されていた。何だよこっちで食えばいいのか。しかしこの日本が生んだ天才はバイキング形式で食べた経験がほとんどなかった。何て説明すればいいのか分からないが、要するに俺は、「
ここに置いてある料理をこのコックに注文する」と勘違いし、自分で取るという行為を放棄した。
俺「
プリーズチーズ」
チーズプリーズが正しい気もするが、まさかセンター試(略)のこの英語力に間違いなどあるはずもない。しかしコックは困惑している。無理もない。バイキング形式=自分で勝手に食べるという図式しか頭にない彼は、俺が何を言っているのか理解できていないのだろう。外人の想像性は日本人の半分にも満たないな。するとコックがチーズを指し、何か言い始めた。
コック「
ケーズ」
ここで俺は新たな勘違いをする。「発音が悪くて通じなかった」or「英語読みだったから通じなかった」のだ、と
勝手に妄想してしまった。メモ帳を取り出し、慌ててチーズ⇒ケーズと書き込み、他の料理の解説もしてもらう。恥を晒すようだが、ノートに書かれていた情報によると俺の耳で聞き取れた単語は以下のとおり。
料理名 ドイツ語
チーズ⇒ケーズ
ハム⇒シークン
何か入ったハム⇒ビアンシークン
サラミ⇒サラミ
ジャム⇒ラーゼン
コーヒー⇒コーヒー
後で確認したが、ケーズ以外のドイツ語は全て間違っていた。むしろケーズが聞き取れたこと自体奇跡としか言いようがない。そんなこんなで一通りの説明が終わり、さぁ注文しようかと思うとコックは帰っていった。絶望的に察しが悪い俺でさえ、ここにきて勝手に食えという彼の心意気を感じ取ることができた。つーか
他の宿泊客がそうしてるんだから問題ないんだろう。そう割り切って全種類のハムとチーズを食べ、パンを食って部屋に戻る。たかが朝食で何でこんなに疲れなくちゃいけないんだよ。部屋では某先輩が起きていたので、食堂の形式を簡単に説明し、まだ9時まで時間があったので再度食堂へ。俺はコーヒーを飲んだだけだった。
部屋に戻り、まだ眠り足りなかったので11時まで寝ることにした。というか11時から店が開くのだからそれ以前に町に行っても意味がないというのもある。11時過ぎに起きて、半頃に出発した。
ゲーテ通りに着くと、本屋があったので寄ってみる。そこで『
新世紀エヴァンゲリオンのドイツ語版』を発見。確かこの漫画が好きなやつが近くにいたような…。とりあえずお土産用に一冊買ってみる。値段は6.2ユーロだったので、日本版の約2倍といったところか。しばらくプラプラしていると、某先輩の携帯電話が鳴った。ドイツの友人からだ! 昨日はやはり雪で飛行機が出なかったらしい。あと10分でここに来るというのでこのまま本屋で立ち読みをしながら待つことに。
ちなみに「携帯電話が鳴った」とあるが、これはVodafoneの3Gのみがここで使えるらしい。俺のもVodafoneだが3Gではないので圏外だった。3Gなんて日本で圏外のくせに生意気だ。そもそもウィーン・ライプツィヒ・イエナどこでも使えるなんて、羨ましすぎるぞ。俺の携帯はドイツ滞在中、ずっと目覚まし時計代わりに使われたことは言うまでもない。
30分してやっと友人が来た。10分と言って3倍かかるなんてよくあることだよね。時間守らない人間は死んでもいいと思っているが、ドイツだから許しちゃう。全然怒ってないよ。にぱ~☆
とは言え、案内役が来てから状況は一変する。まずイエナにある大学を見て回ることにした。行く途中に市営図書館があったので寄ってみる。手荷物の持込にすごく厳しく、ロッカーにカバンなどを預けなければならない。俺は寒いのでジャケットを着たまま入ろうとしたが、係員に止められて、已む無くジャケットもロッカーに入れることになった。本の種類や冊数についてはノーコメント。たぶん和泉の図書館と同じくらいじゃないかな。もちろん全部ドイツ語なので一切中は読んでいない。雰囲気だけ楽しんだ。
次に何とか大学に着いた。植物園の隣にある物理学や天文学とかを専攻しているキャンパスらしい。教室の扉は重々しさなど感じさせない、ラクな作りになっていて、日本の小学校のような感じと言えばよいのか。中庭がかなり広く、ここで学生たちがBBQなどを催すこともあるらしい。なお授業のない教室には鍵がかかってて入れないので、中は見れなかった。
隣の植物園にも行ってみた。国際学生証を持っていたおかげで1.5ユーロで入れるらしい。ブラジルなど熱帯の植物などが見れた。正直日本でも見れるような気がしたが、ドイツで見ると一層の格別感がある。「ドイツで~した」というブランド効果なんだろうなぁ。俺ったら何てミーハーなんでしょ。
植物園で、案内役の友人が誰かから電話を受けていたのだが、その相手は「日本語を学びたいドイツ人」らしく、これからその人と会うから一緒に行こうと誘われた。日本語が話せるなら誰でもいいや。ということで付いていくことに。待ち合わせ場所にいたのは、太ってるけど気品を漂わせるオッサンだった。「ガンダルフ」っぽい名前だった気がする。
ガンダルフ「
こんにちは」
おお、すげぇ。流石この歳で日本語を学ぼうとしているだけある。しかもこっちがはじめまして、とか言っても意味理解してるし。やる気さえあれば何でも出来るってことなのか。そうこうしているともう一人同じようなのがやって来た。何でも案内役の友人は、数人のサークルでドイツ語と日本語の相互勉強会のようなものをやっているらしい。その集まりが今日だったとか。
結局、俺と某先輩、ガンダルフと後から来たドイツ人弁護士、案内役とその友人の計6人でアイスカフェとやらに移動した。しかし雨が降ってきて寒かったので俺はアイスをパス。「KIBA」という訳の分からん飲み物を注文してみたが、まずくて仕方なかった。カフェでの会話は中略。ガンダルフたちと一緒に写真を撮らせてもらえてよかった(後で載せる予定)。
ガンダルフたちと別れた後、晩飯を食うため、案内役の行きつけの店に向かう。しかし開店時間が18時らしいので、あと1時間ほど空いてしまった。どこか行く場所はないかと尋ねると、市営のレンタルショップ(年会費を払うことで本やCD、DVDがレンタルできる場所)に案内するとのこと。何か返却しなければいけないものがあるとかないとか。案内役が返却を済ませている間適当に見て回っていると、ここにもドイツ語版の漫画が置いてあった。NARUTO大人気だな。
それからH&Mという日本でいま人気(?)の店に行ってみた。ただの洋服を売ってる店だが、俺以外の二人はここのブランドをやたらと薦めていた。俺にとっては日本のユニクロと何ら変わらないが、まぁお洒落さんには違いが分かるのだろう。しかしあまりにユニクロに似ていてビックリした。
適当に服を見て、時間になったのでさっきの店にまた戻った。この店は学割が利いて安く飲めるらしい。案内役の彼氏(日本人・旅行中)も来て、4人の日本人で一席を取った。よくメニューの意味が分からないが、案内役の通訳の下、「カツレツとスパゲティのセット」を頼んでみた。美味しかったが、スパゲティが日本のに比べて固い気がした。いやうちが柔いのかもしれないんだけどね。ちなみに10.8ユーロだから、約1700円くらいか。やっぱ高いよ! ドイツは料理店で食べたり飲んだりするとすごく高いので、家で飲むことが多いらしい。いい参考になった。
後は黒ビールやビールのスプライト割などを飲んでみた。正直、日本のビールの方が好きだ。無駄に強い炭酸の味に慣らされてしまっていて、何か物足りない気がした。あ、つまみで頼んだ「チーズとトマトのドレッシングがけ」は、ジョジョ第四部に出てきたトニオさんの料理そっくりだったよ。億泰じゃないが、確かに旨かった。そういや…帰国してから親知らずが生えてきたが…これはまさかスタンド能力だったのかァァァッ!?
ぐだぐだと喋りながら飲んで、21時に店を後にした。帰りのバスの時刻表を確認してみると、0時まで出ているようなので一安心。ただユースの門限が22時(鍵をフロントに預けない場合)なので、出来るだけそれまでに帰れるよう心がけてはいるけどね。バスの待合所では、DQNっぽい姉ちゃんがタバコをスパスパ吸っては、その吸殻を道に投げ捨てていた。もう一人来たのでカバンをどかせて席を譲ってやると、ダンケ(ありがとう)と言われた。「どういたしまして」というドイツ語が分からなかったので「ドントウォーリー」と言うと、何故か笑われた。
22時に無事帰宅。どうでもいいけど海外で、22時に日本人2人で平気で歩ける都市って結構珍しいんじゃないのかな? まぁ人がいないのもそうだけど、あの暗い道で襲われたら俺ら終わりだぞ。現金取られたら帰れなくなるし。そんな不安をよそに、23時には寝てしまった。
朝食の風景。これを見ても食事システムが理解できない俺を、笑ってやってくれ。
食堂の窓から撮った風景。建っている変なものは未だに分からない。
カツレツとスパゲティ。トニオさんの料理はまた今度。