<Case4.5>
11日(金) 23:50
それは起こった。
オッサン「
てめぇのイビキがうるさくて眠れねぇんだよ!」
見ると、赤いジャンパーを着たオッサンが若者に掴みかかっている。
寝ぼけ眼の若者はただただ混乱するばかり。
本当に唐突だったので俺も事情はよくわかっていない。
ただ、オッサンの切れ方が異常だった。
どんだけイビキ耐性ないんだろう。
いやいやそういう問題じゃない。
以前からの確執があったとか、そういうレベル。
オッサン「てめぇ殴らせろ」
おいおいそこまでいくか。
係の人が騒ぎを聞きつけ、止めに入る。
これで終わると思った。
オッサン「
ジャマヲ―――スルナッ!!!!」
マジか。
係の人間ぶっ飛ばしやがった。
追加で4人、合計5人で取り押さえにかかるが、まだ暴れて叫んでいる。
俺の隣のおじいさんがぼそりと呟く。
おじいさん「誰か、止められる者はおらんのかのぉ…」
俺はスッと立ち上がり。
コートを羽織り。
ポケットに入っていたウィスキーを取り出し。
一口。
悠然とオッサンに向かい歩き出し。
「
やめないか!」
別のところから別の若者が叫んで飛び掛っていった。
オッサンは舌打ちをし、また寝転ぶ。
イビキの若者は場所を移動する。
人々は勇気ある若者を讃えていた。
俺は、オッサンの横を素通りし。
外でタバコを吸って。
空を仰いで。
また、寝床に戻った。